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パーキンソン病について
パーキンソン病は、脳の黒質にあるドパミンという神経伝達物質を作る神経細胞が減ってしまうことにより脳内のドパミンが減少し、主に運動機能に関わる情報が伝わらず、様々な症状が出てくる神経の病気です。パーキンソン病は50歳、60歳代で発病することが多いですが、それ以上の高齢で発病する方、また、40歳前に発病する方もいます。高齢化社会が進むにつれてパーキンソン病患者さんの数も増加しており、アルツハイマー病に次いで頻度が高い神経変性疾患です。パーキンソン病は、厚生労働省が特定疾患(難病)に認めている疾患の1つです。
パーキンソン病の症状
主な症状は以下の運動に関する症状です。
・振戦 (手や足のふるえ)
・筋固縮 (筋肉が固くなってこわばる)
・無動、動作緩慢(動くまでに時間がかかり、動きが遅くなる)
・姿勢反射障害 (体のバランスがとりにくくなる)
また、仮面様顔貌(顔の表情がなくなる)、前傾姿勢、小刻み歩行、すくみ足(足が前に出にくくなる)などの症状もみられます。これら運動症状以外にも、便秘、頻尿、立ちくらみ (起立性低血圧)などの自律神経障害、うつなどの精神症状、不眠などの睡眠障害などがみられることも多く、運動症状が現れる以前よりこれら症状がみられることもあります。
パーキンソン病の診断
脳血管障害や、お薬の副作用でパーキンソン病とよく似た症状を示すことがあります。またパーキンソン病以外の神経変性疾患でもパーキンソン病とよく似た症状を示すものがあり、パーキンソン病の診断には医師による十分な問診と神経学的診察、頭部CTやMRI検査などが必要です。
パーキンソン病の治療
パーキンソン病治療の基本は薬物療法です。残念ながらパーキンソン病を完全に治すお薬はありませんが、現在さまざまな種類のパーキンソン病治療薬があり前述のパーキンソン病の症状を改善することができます。パーキンソン病はゆっくりと進行する病気ですが、早期よりきちんと治療を行えばよい状態を保つことができます。進行とともにお薬の量や種類が増えてゆき、副作用がみられることもあります。そのため定期的に医師の診察を受け、症状に応じた適切な種類と量のお薬を、症状と生活状況に応じた適切な服薬時間にのむことが大切です。また、パーキンソン病の治療は、薬物療法と合わせて、リハビリテーションを行うことが重要です。薬物療法やリハビリテーションで効果が不十分な場合、脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation、DBS療法)や、レボドパカルビドパ経腸療法(levodopa-carbidopa intestinal gel 、 LCIG療法)などのデバイス治療が行われることもあります。
パーキンソン病のリハビリテーション
パーキンソン病は前述のようにさまざまな運動機能の障害をおこすため、運動機能の回復、維持のためリハビリが重要なのは明らかです。パーキンソン病の症状に応じて専門のリハビリスタッフと共にリハビリを継続していくと効果も上がります。筋固縮や無動、動作緩慢、歩行障害、姿勢反射障害などの症状に対する基本動作の回復、維持には理学療法士が、また自宅などでの日常生活上の動作困難、仕事や趣味などでの動作困難に対して作業療法士がサポートします。さらに、パーキンソン病では声がでにくくなった、声が小さくかすれるようになった、食物がのみこみにくくなったなどの症状が出てきます。これらの症状に対するリハビリには言語聴覚士がサポートします。
近年、Lee Silverman Voice Treatment(LSVT®)がパーキンソン病のリハビリとして注目されています。これは米国のRamigらが考案した発声発語改善目的のプログラムで、パーキンソン病患者に有効であることが示され、世界各地で行われるようになっています(LSVT® LOUD)。またこのプログラムにはパーキンソン病患者の摂食嚥下障害に対する効果もあることが報告されました。さらに、パーキンソン病の運動障害に対するリハビリプログラムとしてLSVT® BIGが開発されています。LSVT®は、声を大きくして話す、身体の動きを大きくすることを集中的に反復訓練することによりパーキンソン病患者の日常生活動作改善を目的としています。
当院脳神経内科、リハビリテーション部ではパーキンソン病の診断、治療に積極的に取り組んでいます。リハビリテーション部にはLSVT®の資格を持った理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が在籍しています。パーキンソン病では‘やる気’‘やりがい’の物質であるドパミンが減少しているため、リハビリ時の基本動作訓練やいろいろな作業をとうして、スタッフがパーキンソン病患者さんの‘やる気’‘やりがい’を引き出すサポートをします。パーキンソン病でご心配な方はお気軽に当院脳神経内科を受診してください。