各診療科目・専門外来のご紹介

禁煙外来

禁煙外来について

タバコについて

タバコは南米原産のナス科の植物で,葉はニコチンを含み、乾燥させて喫煙用に加工されています。タバコ属には約50種が存在し、大規模に栽培されるものは Nicotiana. tabacum と N. rustica の2種に限られている。N. tabacum はニコチン含有量が高いため、商業的に利用されています。

タバコ有害物質の御三家とは

1.ニコチン
血管を収縮させて血液の流れを悪くし、動脈硬化を促進させます。
2.タール
フィルターに茶色く付着する、いわゆるヤニのようなべっとりしたもので、数十種類近くの発がん性物質が含有しています。
3.一酸化炭素
赤血球中の血色素(ヘモグロビン)と結びついて、酸素を身体の隅々に運搬するという大切な働きを妨害し,慢性的に脳細胞や全身の細胞の酸素欠乏状態にします。

主流煙と副流煙について

主流煙(直接喫煙)は喫煙者が煙草自体を通して直接的に吸い込む煙のこと。
副流煙(間接喫煙あるいは受動喫煙)は煙草の点火部から立ち上る煙のこと。有害成分量は主流煙より多く、アルカリ性で目や鼻の粘膜を刺激します。

タバコを止められない理由は?

1.ニコチン依存症(身体的依存):ニコチン中毒のことで、血液中のニコチン濃度が下がると、どうしようもなくタバコが吸いたくなります。
2.習慣(精神的依存):起床時・食後・会議・商談・飲み会等のいろいろな生活場面で、タバコを吸う習慣が身についているのです。つまり、行動記憶が残っているのです。

禁煙の取り組みについて

喫煙は疾病や死亡の原因の中で防ぐことの出来る単一で最大のものであり、禁煙は最も確実にかつ短期的に大量の重篤な疾病や死亡を劇的に減らすことのできる方法です。禁煙推進は喫煙者・非喫煙者の健康の維持と莫大な保険財政の節約になり、社会全体の健康増進に寄与する最大のものと言っても過言ではありません。

禁煙外来の変遷について

2006 年2月から「ニコチン依存症管理料」が新設し、禁煙治療に対する保険適用が開始され、改定を繰り返しながら8年が経過しました。2008 年1月には禁煙補助薬バレニクリンが承認され、2008年5月にはニコチンパッチがOTC化され薬局での購入が可能となった。全国で禁煙治療の推進が現在も続いており、当院においても2014年8月1日から敷地内全面禁煙となり施設基準を満たすことができ、禁煙外来の開設が可能となりました。

禁煙治療の流れ

外来患者を対象としています。保険給付の対象は以下の条件全てを満たす「ニコチン依存症」の患者さんです。

1)直ちに禁煙しようと考えていること

2)ニコチン依存症のスクリーニングテスト「Tobacco Dependence Screener」(以下TDS と呼ぶ)が5 点以上であること

3)ブリンクマン指数(1 日喫煙本数×喫煙年数)が200 以上であること
4)禁煙治療を受けることを文書により同意していること

禁煙治療は、初回診察に加えて、初回診察から2週間後,4週間後,8週間後,12週間後の計4回の再診で構成されています。

バレニクリン(チャンピックス®)について

バレニクリンはニコチンパッチやニコチンガムのようなニコチン補充型ではなく、脳内にあるα4β2 ニコチン受容体にくっつきニコチンを遮断しますが、部分作動薬として禁煙効果を発揮します。この効果より禁煙に伴う離脱症状やタバコへの切望感を軽減します。また、バレニクリン服用中の再喫煙でも、脳内のニコチン結合を阻害し、喫煙から得られる満足感を抑制します。よって、タバコがおいしく感じなくなります。

バレニクリンの内服のスケジュール

費用について(バレニクリン:チャンピックス®内服時):12週間(3か月)コース

費用自己負担額(3割負担の場合)
病院初診料+再診料7,540円5,960円
ニコチン依存症管理料9,620円
院外処方せん料2,720円
保険薬局調剤料6,120円13,310円
禁煙補助薬37,660円
合計63,660円19,090円

タバコ代は1箱210~460円/日×1ヶ月 ⇒ 6,000~13,000円/月

3カ月の喫煙で18,000~40,000円前後となり、1年で10万円前後の出費となります。10年間の禁煙で約100万円前後の貯蓄が可能ですね。

当院での禁煙成功率

平成29年度 禁煙成功率54%

・初回算定22、禁煙成功6、中断禁煙成功6、中断再喫煙3、初回算定のみ5、終了したが再喫煙2

 

平成30年度 禁煙成功率50%

・初回算定16、禁煙成功5、中断禁煙成功3、中断再喫煙3、初回算定のみ3、終了したが再喫煙1

 

平成31(令和1)年度 禁煙成功率81%

・初回算定11、禁煙成功6、中断禁煙成功3、中断再喫煙1、初回算定のみ1、終了したが再喫煙0

最後に

禁煙を精神論で実行する時代は終わりました。科学的な根拠をもって、専門家のアドバイスのもとに行う方が、身体的、精神的そして経済的に有用であると思います。禁煙に何度失敗しようが、禁煙を成し遂げた後の人生は素晴らしいものと思います。我々が全力でお手伝い致します。まずは禁煙外来にお越し下さい。

参考文献

1)禁煙治療のための標準手順書 第5版:日本循環器学会,日本肺癌学会,日本癌学会,日本呼吸器学会.2012年4月.
2)日本呼吸器学会 喫煙問題に関する検討委員会 編:禁煙治療マニュアル.社団法人 日本呼吸器学会,2009.

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