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内視鏡外科・ヘルニア外来

内視鏡外科・ヘルニア外来のご紹介

外来日:月曜午前中

※それ以外の日程をご希望の場合はご連絡ください。ご相談に応じます。
TEL:092-939-0010

低侵襲外科手術

外科手術は日進月歩です。たとえば胆石手術での傷の大きさを年代別に示したのが(図1)です。腹腔鏡手術の普及により数ヶ所の穴をあけるだけで手術可能となりました。 歴史的には20世紀に入り現在の外科手術の原型ができあがったわけですが、当初は手術の成功率そのものが低かったため、やり易さが追及され、とにかく大きく切って広い術野で手術を行っていました。大きく切開する外科医ほど偉大な外科医だという風潮するあった時代です。その後、手術の方法(術式)が確立され成功率(安全性)が格段に高まると同時に次ぎの潮流はいかにこの痛みをいかに軽減して社会復帰を早くできるか?というところに移ってゆき体壁に穴を数カ所開けて手術を行う腹腔鏡手術の登場となります。

腹腔鏡手術について(当院は単孔式腹腔鏡下手術(TANKO)実施可能施設です)

腹腔鏡(ふくくうきょう)手術では、腹壁に穴をあけそこから腹腔内に炭酸ガスを注入し膨らませることにより擬似的な作業空間を作成し手術を遂行します(図2)。二点目は小さな穴を通すことができる細長い手術器械(鉗子)の開発です(図3)。腹腔鏡で写したおなかの中の映像をモニタ-に写し、それを外科医、介助の看護師でみながら手術を行うという方法です(図4)。

腹腔鏡手術の有用性

  1. 手術の傷が小さく整容性に優れています。
  2. 術後の痛みが軽減されます。
  3. 入院期間が短く、早期の社会復帰が可能です。
  4. 術後癒着の軽減が証明されています。
  5. 拡大視が可能なためより繊細で確実な手術が可能となります。

例えば、食道癌手術は腹臥位として胸腔鏡と腹腔鏡を併用しつつ手術を行いますが開胸および開腹としていた高侵襲術式と比べて飛躍的に術後の回復は早まりました(図5−6)。

術後経過の比較

胸開・開腹手術(従来の方法)胸腔鏡下手術(VATS-E)
吸器管理(抜管)翌日~5日間まで当日に抜管
経口開始7日~10日目より開始翌日より水分開始 3日目より食事を開始
安静・歩行5日目位より歩行開始 7日間はICU翌日昼にはICU~自室へ 歩行も開始
入院期間(術後)3~4週間程10日~21日間

こうした腹腔鏡が発達してきた背景には、一通りプラトーに達した伝統的な手術手技が時代の要請もあって低侵襲手術(体への負担の少ない手術)を志向するようになってきたことがあります。現在の保険給付される主な対象疾患としては胆石症、ヘルニア(脱腸)、胃癌、食道癌、大腸癌、虫垂炎、気胸、肺癌、胃・十二指腸潰瘍穿孔、一部の肝胆膵腫瘍などとされております(図4)。

例えば胃癌の手術では腹部の5カ所に穴を開け手術を行います(図7-9)。

但し,腹腔鏡手術にはおのずと限界があります。癌が大きすぎる場合や強い癒着がある場合、また全身の状態が悪い人などは適応となりません。また,モニタ-画面は二次元の感覚に近いため多くは開腹手術より長い時間を必要とします。最近、一部で無理な腹腔鏡手術を行い本来の意義を帳消しにしてしまう結果を招いた事例が報告されました。患者さんの治療は安全性すなわち−手術から回復し無事退院することができる−ことを最優先に考えねばなりません。従って我々は腹腔鏡の適応となる患者さんを厳選し、また症例によっては適宜先行して小さな切開を置くハイブリッド法(開腹と腹腔鏡の併用法)などして安全性の根治性のバランスを保った手術を行う工夫を行っております。

腹腔鏡手術をご検討の方へ

また最近では安全性を担保しつつ臍一ヶ所のキズから手術を行う単孔式手術や極めて細い鉗子(細経鉗子)を応用するReduced Port Surgery(減数ポート手術)も行っております。結果として術後の傷跡はほとんど目立たなくなりました。(図10, 11) さらに最近ではロボット手術が普及しつつあり、本邦においてもその有用性が明らかにされ徐々に保険適応範囲も拡大されてきました。これはロボットが自動的に手術をするのではなくあくまで外科医が手術を執刀し腹腔内に挿入する手の代わりにロボットの手が使われるそんなイメージです。(図12)人間の手より自由度の高い多関節型の鉗子、手振れ補正機能など、従来の手術をさらに精密に行うことができ当院のような一般病院への普及は未だ途上ではありますが、将来的には間違いなく標準化されていくと言われています。

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